ビゼー「カルメン」&「アルルの女」♪~ゴンザレス指揮バルセロナ交響楽団。


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ビゼー:
・「カルメン」第1組曲&第2組曲(ギロー編)
・「アルルの女」第1組曲
・「アルルの女」第2組曲(ギロー編)

 パブロ・ゴンザレス指揮 バルセロナ交響楽団
 Rec. May 2015 at バルセロナ、パブロ・カザルス・ホール
 NAXOS
試聴!



┃南フランスの香り。

あまりに暑くて、なんだかメンタル的にも夏バテ気味。そういう時は名曲を浴びるのがいい。ちょうどワールドカップで優勝したフランスの南部を舞台とした名曲「アルルの女」を聴く。

原作はアルフォンス・ドーデ。けっこう薄かったので(笑)、学生時代に原作を読んだような、買ったっきり読まなかったような・・・。しかしあらすじはWikipediaにばっちりまとまっている。

 南フランス豪農の息子フレデリは、アルルの闘牛場で見かけた女性に心を奪われてしまった。フレデリにはヴィヴェットという許嫁がいるが、彼女の献身的な愛もフレデリを正気に戻すことはできない。日に日に衰えていく息子を見て、フレデリの母はアルルの女との結婚を許そうとする。それを伝え聞いたヴィヴェットがフレデリの幸せのためならと、身を退くことをフレデリの母に伝える。ヴィヴェットの真心を知ったフレデリは、アルルの女を忘れてヴィヴェットと結婚することを決意する。2人の結婚式の夜、牧童頭のミティフィオが現れて、今夜アルルの女と駆け落ちすることを伝える。物陰からそれを聞いたフレデリは嫉妬に狂い、祝いの踊りファランドールがにぎやかに踊られる中、機織り小屋の階上から身をおどらせて自ら命を絶つ。

なかなかにドラマティックな展開だが、圧倒的な天才でありながらわずか36歳でこの世を去るビゼーの人生の方が、事実は小説より劇的になってしまったというべきだろうか。



┃オケも名前よりチームプレー。

美しい風俗を描き出したビゼーの劇音楽とその組曲は説明するまでもない名曲。

名盤ひしめく中、今日のディスクはスペインはバルセロナ交響楽団をパブロ・ゴンザレスが指揮したNAXOSの一枚だが、これが素晴らしい!

風通しよく整えられたオケのバランス、フレーズの滑舌のよさ、抜けのいい録音と ところどころににじみ出る色気♪ 最高に快適な演奏が聴ける。

前奏曲のサックスとクラリネットの二重奏やアダージェットにおけるアンサンブルの繊細さ、そして狂喜のファランドールにおける踏込の鋭さ! たまらん♪


    PGz.jpg パブロ・ゴンザレス



スペインのオケというと、あまりピンとこないかもしれないけれど、YouTubeではガリシア交響楽団が要注目だし、このバルセロナ交響楽団も大植英次や大野和士らも監督に名を連ねる完成度の高いオケ。

指揮のパブロ・ゴンザレス(1975~)はドナテラ・フリックやカダケス国際といった注目度の高い指揮者コンクールを制したスペイン人指揮者。バルセロナ響では2010~2015年に音楽監督を務めた。現在はドイツを中心にイギリスや北欧にも客演している。

先のワールドカップでは、われらが日本の試合を通じて、どれだけチーム全員が同じ方向を向くのが大事かということがわかったわけだが、それはオーケストラも同じ。名のあるオケでも、全員が好き勝手やっていては、美しい音楽は生まれない。

逆に、世界には知名度はそれほどでも、完成度の高いオケがあることを知らしめるような美しい演奏だ。


もちろん、地元スペインを舞台としたカルメンの方の演奏も逸品。リズム感のよさとキレッキレのアンサンブルは聴き物!

スペインの指揮者とオケが実力を見せつけた一枚。素晴らしい♪


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2015年発見! テレマンの無伴奏ガンバのためのファンタジア♪

リチャード・ブースビーが弾く!
テレマン「無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのための12の幻想曲」



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テレマン:無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのためのファンタジア TWV.40:26-37
ファンタジア第1番ハ短調/第2番ニ長調/第3番ホ短調/第4番ヘ長調/
第5番変ロ長調/第6番ト長調/第7番ト短調/第8番イ長調/第9番ハ長調
第10番ホ長調/第11番ニ短調/第12番変ホ長調

 リチャード・ブースビー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 2017年7月17-19日, グロスタシャー、シェボーン、
 セント・メアリー・モードリン教会での録音
 Signum




┃12のファンタジア。

テレマン(Georg Philipp Telemann, 1681-1767)はファンタジアと名のつく無伴奏作品をヴァイオリン(12曲)、フルート(12曲)、チェンバロ(36曲)のために作曲しており、それぞれ録音も多い。

今日のヴィオラ・ダ・ガンバのための作品集は紛失したと考えられていたが、2015年に個人所蔵のコレクションのなかから見つかったもの。これはすぐにトマス・フリッシュにより世界初録音され、Covielloからリリースされた。その後も鬼才パオロ・パンドルフォ(Glossa, 2017)などの録音がリリースされたが、なんだかんだで結局未聴。今回signumから新録音がリリースされたので、ついに聴いてみる! ドキドキ。

演奏するのはベテランのリチャード・ブースビー(Richard Boothby, 1955-)。彼はザルツブルクでニコラウス・アーノンクールに師事したのち、1984年にパーセル・カルテット(Purcell Quartet)、1985年にフレットワーク(Fretwork)という世界的に評価されることになるアンサンブルを相次いで結成。

圧倒的なレパートリーを誇り、パーセル・カルテットでhyperionやChandosに50枚以上のアルバムを、フレットワークでVirgin ClassicsやHarmonia Mundiなどに30枚以上のアルバムをリリースして高い評価を獲得。まさに現代ヴィオラ・ダ・ガンバの第一人者。



┃ガンバの可能性に挑戦する忠実な楽長。

そんなガンバを知り尽くした男が挑む、”新しい音楽”。

一聴して思うのは、ガンバがこれほど豊かな表情をもった楽器だったのか!ということ。

バッハ流に旋律楽器で対位法的な表現に挑戦した場面もあれば、楽器独特のやわらかい音を生かした素朴な場面もあるし、急速なパッセージに驚かされることもある。


テレマンは1720年代に友人であるJ.S.バッハが作曲した無伴奏チェロ組曲や無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータに興味をもったのか、1730年代になると相次いでソロ楽器のためのファンタジアを作曲している。

どんな楽器も弾きこなす天才として知られていたテレマンだが、無伴奏ファンタジアはフルート、ヴァイオリン、そしてこのヴィオラ・ダ・ガンバと、パリ四重奏曲集の楽器として用いた、おそらくもっとも得意としたもののために書いた。

だから書法は充実している。テレマンはアマチュア相手の商売を得意としたとよく言われる。素人目にはかなり難しそうだが、これほどの音楽でも演奏をこなすアマチュアはたくさんいたんだろうか? 現代で言えば中身がヴィシソワーズ、アクアパッツァ、ガランティーヌ、テルミドールとか レベルMAXな料理しか載ってない主婦用のレシピ本がガンガン売れてる感じ?


まぁ、食べるのと一緒で、ただ聴いている分にはこれほど良いものはない。

楽器の可能性の限界に挑戦しつつも、テレマンらしく曲調は愛想がいい。第11番ニ短調の鬼気迫る音楽もいいが、やはり牧歌的なドローンバスの模倣が心地よい第6番のスケルツァンドと踊り出したくなるスピリトゥオーソ、晴れやかさがどんどん広がってゆく第8番のヴィヴァーチェ、こういったところが目下のお気に入り。名手ブースビーの演奏も生き生きとしていてすこぶる良い。こういうのを聴かされると、バッハにはない魅力を感じてしまう♪ 

すべてのガンバ奏者だけでなく、クラシック音楽の愛好家にとって、胸躍らせる名曲がまたひとつ甦った!


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グルック「オルフェオとエウリディーチェ」ナポリ版!~ジャルスキーほか

『オルフェオとエウリディーチェ』全曲
 ディエゴ・ファソリス&イ・バロッキスティ
 フィリップ・ジャルスキー、アマンダ・フォーサイス。


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グルック:歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』全曲(1774年ナポリ版)
 フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー:オルフェオ)
 アマンダ・フォーサイス(ソプラノ:エウリディーチェ)
 エメーケ・バラート(ソプラノ:アムール)
 スイス・イタリア語放送合唱団
 イ・バロッキスティ、ディエゴ・ファソリス(指揮)
 2016年9月、2017年7月、スイス、ルガーノ、Auditorio Stelio Molo RSIでの録音
 WARNER ERATO




┃オペラの都ナポリ。

今日はグルックの名高いオペラ「オルフェオとエウリディーチェ(Orfeo ed Euridice)」。数多くあるこの曲の録音で今日の一枚が特別なのは「1774年ナポリ版」を謳っていること。

そもそも18世紀になると、ナポリはパリなどと並んで全ヨーロッパでも最大の音楽の(オペラの)都となっていた。


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    ピエトロ・メタスタージオ


アレッサンドロ・スカルラッティ(Alessandro Scarlatti, 1660-1725)らが、理想化された英雄や王たちを主人公とするピエトロ・メタスタージオ(Pietro Metastasio, 1698–1782)の台本に作曲した歌劇、いわゆるオペラ・セリアによって一時代を築き、今ではナポリ楽派と呼ばれている。

そんなナポリに代表される18世紀前半までのオペラの特徴は、なんといってもカストラートに代表される歌手の超絶技巧だ。

言ってしまえばこのころのオペラは筋など二の次・三の次で、豪華な衣装をまとったカストラートが歌うド派手なコロラトゥーラや、舞台上で繰り広げられる一大スペクタクルに身を委ねることを聴衆は期待していた。

音楽の形式は紋切型で、ほとんどレチタティーヴォダ・カーポ・アリアの交替一辺倒であるし、筋のほうも舞台の派手さを重視して本筋はしばしば全く関係ないエピソードにより分断されたという。その筋の方も「三角関係になった王が身を引いて寛大さを示す」といったワンパターンなものだった。

つまりこのころまでオペラは「王侯貴族の力の誇示と君主の寛大さを讃える」という庇護者へ忖度しまくりの内容で、音楽の形式も決まりきったものでずーっと続いてきていたのだ。



┃オペラ・セリアの改革者。


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     クリストフ・ヴィリバルト・グルック


そんな"伝統"に反旗を翻したのが、かの有名なクリストフ・ヴィリバルト・グルック(Christoph Willibald Gluck, 1714-1787)氏。そして「オルフェオとエウリディーチェ」はその改革オペラの第1号作で、1762年の作曲。

台本はブフォン論争のさなかにフランスに暮らしたラニエーリ・カルツァビージ(Ranieri Calzabigi, 1714-1795)により書かれた。彼は言葉のアクセントによる朗唱様式などを生んだ「自然に帰れ」という演劇理論を展開した百科全書派に影響されていた。

二人が作り上げたオルフェオは、一言でいえば「音楽は言葉に従属する」という(モーツァルトの「詩は音楽の従順な娘」とは逆の)立場に立っている。

このオペラはもともとウィーンで初演されたが、1774年にパリで上演されるにあたってバレエ曲やアモーレの最初のアリア、「精霊の踊り」などが追加された版が作成された。上演される場所の聴衆の趣味合わせることは当時は常識だったから、バレエ音楽が無ければ聴衆が暴徒と化すフランスでは上記の改作は当然必要だった。このパリ盤にはNAXOS盤などの録音がある。

一方で同じ年、1774年にナポリで上演された版を復元したのが、今日の盤である。

これはもともとパリ版より短いウィーン版から、さらにレチタティーヴォのカットなどがあり、もっとも簡潔な版になっており、全曲がなんとCD1枚に入りきっている。

この演奏を聴くと、誰でもこの音楽の以下のような特徴がはっきりと聴き取れる。

 ①場面がサクサク進む。=レチタティーヴォが簡潔。
 ②進行が型にはまりきっていない。ムダな超絶技巧が少ない。
 ③合唱の比率が高い。


③はフランスが好きな古代ギリシャ劇の影響だろうが、全体にテンポがよく物語の流れに集中していることは誰が聴いても明らかだし、グルックはオペラを歌手の技巧誇示の道具から救ったというのはやはりその通りなんだろう。


┃明確な意図により練り上げられた傑作。

改革者と認められる一方で、グルックのオペラにはたいした旋律がないとも言われるが、はたしてそうだろうか。

アムールが愛の甘美さを歌う「Gli sguardi tratteni」や、美しい自然風景を描く第2幕第2場のバッロなど、規模こそ小ぶりだが非常に愛らしい。

そもそも、このオペラには3人しか歌手が登場しない。すべてはコンパクトに切り詰められ、物語の緊張感は途切れない。意図が透徹している。

そして、せっかく再開したのに抱擁もないオルフェオへの疑いを向けるエウリディーチェと、その苦しみを歌うオルフェオの想いが交錯する「Veni appaga, il tuo consore」は、全体のクライマックスともいえる力強さをもって燦然と輝く!

ここでは40歳に達したジャルスキー(Philippe Jaroussky, 1978-)が、ますます色気のある衰え知らずの輝かしい声で歌う。フォーサイス(Amanda Forsythe, 1976-)やバラート(Emőke Barath, 1985-)も申し分ない。普通、オペラといったら大根や好みでない歌い方の歌手がひとりはいるものだが、ここでの歌手は完璧だ。簡素さの勝利とでも言おうか。

この曲が名曲かどうかは、まだまだこれからも時間による淘汰を経て明らかになるのかもしれない。少なくとも、僕にとってはこれほど素晴らしいオペラはそうは存在しないのだが。


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▼Orfeo ed Euridice - Vieni, appaga il tuo consorte



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ぺぇたぁ

Author:ぺぇたぁ
“いつも新しい“クラシック音楽の豊かな森を探検するブログ♪埼玉在住・86年生まれの会社員が古楽から現代音楽まで、
名曲・名盤から秘曲までを楽しみます♪動画、ライヴ音源、視聴も。

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