ヘッケマがサックスで聴かせるバッハの無伴奏チェロ組曲!


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・J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 BWV.1007-1012 全曲(サクソフォン版)
 ラーフ・ヘッケマ(サクソフォン)
 2017年10月録音 SACD Hybrid Challenge Classics
視聴する!




■ サクソフォンの極小史。

サックスといえばジャズという印象があって、かなり新しい楽器だと思っていたらちょっと違いました。

例によってYAMAHAのサイトなどを参照すると、時は1840年代、ベルギーの楽器制作家アドルフ・サックス(1814~1894)という人が「木管楽器の良さと金管楽器の良さ併せ持つ楽器」をめざして考案し、1846年にパリで特許を得たんだとか。思ったより歴史がある・・・。

楽器自体は真鍮などの金属製ですが、構造上木管楽器に分類され、「木管楽器の運動性能の高さ、金管楽器のダイナミッククレンジの広さを兼ね備えている」(Wikipedia)。

さらに面白いのが、サックスという人はこの楽器だけでオーケストラを結成することをめざして、なんと10種類以上も音域の違う楽器を発明したんだとか。そのなかで現在はソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バスの5種類がスタンダードに定着しているようです。



■ ヘッケマのさりげない超絶演奏!

ヘッケマ(Raad Hekkema)については同じくバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集をリリースしたのを取り上げたことがありますが、ついに無伴奏チェロ組曲をリリースです!!

今回は1920~30年代の歴史的な楽器を中心に、6曲それぞれ楽器を使い分けているのにも注目。デルフトのカトリック旧教会の抜群の音響をChallenge Classicsの優秀録音でとらえており、目を閉じればまるでその場にいるかのよう。

ヘッケマは完璧な循環呼吸で息継ぎによる流れの遮断を一切聴き手に感じさせないばかりか、流れるようなフレージング、そしてはっとさせる弱音と完璧な表現を聴かせてくれます♪

おそろしい技術の高さだと思いますが、聴いている方にはそれを全く感じさせないのがまた恐ろしい・・・。

聴き手はバッハの音楽にしみじみと聴き入ることができ、第1番冒頭のプレリュードを聴きながら大きく息を吸い込めば、脳内は花粉の季節には決して味わうことができない爽やかなグリーンの気分でいっぱい!

いや~これはイイ!!


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▼Raaf Hekkema - Recording Bach Cello Suites on historic saxophones



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パヴェル・コレスニコフが紡ぐルイ・クープランの抒情♪


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『ルイ・クープラン:ボーアンの手書き譜からの舞曲集』
 組曲 ニ短調〔前奏曲、アルマンド、クラント、サラバンド、ガヴォット、カナリー、シャコンヌ〕/
 アルマンド・グラーヴェ ヘ長調/シャコンヌ ヘ長調/シャコンヌまたはパッサカリア ト短調/
 組曲 ト短調〔アルマンド、クラント、サラバンド、ジグ ハ短調、パッサカリア〕/
 ブランクロシェ氏のトンボー/
 組曲 イ長調〔前奏曲、クラント、サラバンド、サラバンド イ短調、ジグ〕/パヴァーヌ 嬰ヘ短調

パヴェル・コレスニコフ(ピアノ/Yamaha CFX)
2017年3月ワイアストン・エステイトでの録音 Hyperion
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┃印象的な1枚を求めて。

最近はクラシックのアルバムもほとんど定額で聴けるし、YouTubeをはじめネットに多くの演奏が載るので、若いアーティストの演奏を聴く機会もゴマンとある。

それだけ機会が多いわりに、なんだか逆に「これは!」というものが少ない気もする・・・。あまり音楽を浴びすぎるのも、感度が鈍ってよくないのかも。簡単に聴けるようになっても、1枚1枚じっくり聴くのがいい。

今日はそんなゴマンといる若手のなかからピカイチのひとり。ホーネンス国際コンクールで優勝して以後めきめきと頭角をあらわしているパヴェル・コレスニコフ(Pavel Kolesnikov, 1989-)の新譜を。



┃パヴェル・コレスニコフ。

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コレスニコフはモスクワの音楽院で学んだあとロンドンに移り王立音楽大学で研鑽を積んだロシアのピアニスト。2012年にカナダのホーネンス国際コンクールで優勝し、2014年から2016年までBBCニュージェネレーション・アーティストに選出。すでにBBCプロムスやカーネギーホール、ベルリン・コンツェルトハウスなどに登場している気鋭のピアニスト。

すでにリサイタルのライヴ盤と、チャイコフスキーの『四季』ほかをリリースしてかなり好評を得ており、ずっと気になっていましたがアルバムを聴くのはこのクープランがはじめて。

でもhyperion第2作がクープラン、しかも大クープランではなくルイ・クープランというところが渋い! 今やコンクールで優勝してショパンやチャイコフスキーを馬車馬のように弾きまわるような時代ではなくなったということでしょうか。



┃開拓者ルイ・クープランの抒情。

ご存知の通り、「クープラン家は主にバロックの時代にフランスの音楽シーンに名を残す偉大な一族」。というふわふわした認識しかなかったんですが、さすがはWikipedia! 「クープラン家」の項目がある。

これを見るとクープラン家は「楽師」の一族で、「作曲家」という肩書はこのページでもわずかしかいない。まさにクラヴサンやオルガンのための音楽こそが「お家芸」というわけです。

   *    *    *

ルイ・クープラン(Louis Couperin, c. 1626 – 1661)はパリのサン=ジェルヴェ教会のオルガニストに就任して一族の繁栄の基礎を築いた人物。彼の作品を聴いてみると、よくある「舞曲」のまとまりからなる組曲だけど、全体的にゆったりとしていて、音が少なくて抒情的。

これはもちろんコレスニコフの軽いタッチやリリカルな志向もあるけれど、そもそもフランスの初期クラヴサン音楽がリュートのための音楽から発展していったことに関係が深いらしい。

そういった面では組曲の合間にパッサカーユやシャコンヌといった対位法が目立つ作品をチョイスしているのは慧眼。しかもこれが印象的で美しい!

ルイはクラヴサン音楽に楽器特有のイディオムを持ち込んで分野を発展させたと評価されているようです。同じバロックでもバッハやイタリアのマスターたちの音楽とは一線を画す種類の美しさ。

   *    *    *

このアルバムは音の少ないルイ・クープランの音楽と、コレスニコフの美しい響きが生む抒情美が絶妙にマッチした盤になってます。

星の数ほどある音楽のなかで、じっくりと耳を傾けたいと思わせる1枚♪


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ホリガーのオーボエで聴くバッハのトリオ・ソナタ集♪


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 J.S.バッハ:6つのトリオ・ソナタ集 BWV525~530
  ハインツ・ホリガー(オーボエ)、タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ)、
  トマス・デメンガ(チェロ)、クリスティアーヌ・ジャコテ(チェンバロ)
  1987年録音 Philips原盤(現DECCA移行)




■ わたしを忘れないで!


リコーダーは好きでよく聴くし、最近はクラリネットのアルバムをたくさん聴いた。それからライネッケのフルートづくしの盤も気に入っている。こうきたらオーボエを聴かないわけにはいかない。わたしを忘れないで!とオーボエが言ったような言わないような・・・。

というわけで今日はホリガー(Heinz Holliger, 1939-)の名盤。ヴィオラのツィンマーマン(Tabea Zimmermann, 1966-)、チェロのデメンガ(Thomas Demenga, 1954-)、そしてチェンバロのジャコテ(Christiane Jaccottet, 1937 - 1999)という豪華なメンツで録音されたバッハのトリオ・ソナタ集です♪


■ オーボエ極小史。

クラリネットと同じくオーボエについてもYAMAHAのサイトが詳しいでしょうか。ここでは現代のオーボエに近いかたちにまとまったのは17世紀中ごろのフランスとしています。

その後、進化したドイツ式のオーボエがヨーロッパ中に広まりましたが、19世紀の終わりにフランスでコンセルヴァトワール式と呼ばれるシステムが開発されたんだとか。

「リヒャルト・シュトラウスがフランス式の方が好きといったからフランス式が一気に広まった」なんて書いてありますが、当時のシュトラウスの絶大な人気を考えるとそんなことも本当に起こりうるのかもしれません。

現在ドイツ式はウィーン近郊でのみ使用されているんだとか。



■ オーボエの魅力。


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クラリネットが天然のおっとり系美女だとすれば、オーボエは目鼻立ちの整った大人の美人といったところでしょうか。オーボエの音は華があると同時に、どこか憂いをおびた響きも魅力です♪

この盤の演奏は30年たった今も決して古臭くないところがすごい! 快適なテンポでリードするジャコテのチェンバロ、ときにヴィルトゥオージティを発揮するツィマーマンの雄弁なヴィオラ、どっしりとささえるデメンガのチェロ。そのなかを縦横無尽に泳ぎまわるホリガーの明るいオーボエ。

なんというのかなぁ・・・。これはオーボエじゃないとダメなんですよね。ここはクラリネットじゃ。

この編成のなかで華やかな音の魅力を発揮するオーボエ♪ 抜群のコンビネーション!


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▼Trio in F Major after BWV 525


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“いつも新しい“クラシック音楽の豊かな森を探検するブログ♪埼玉在住・86年生まれの会社員が古楽から現代音楽まで、
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