作曲家レナード・バーンスタイン(1918-1990)唯一の映画音楽 『波止場』


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レナード・バーンスタイン作品集[8CD+1DVD BOX]
マリン・オールソップ指揮ボーンマス交響楽団、サンパウロ交響楽団他
NAXOS


┃生誕100年のレナード・バーンスタイン。

今年は生誕100年ということでバーンスタイン(Leonard Bernstein、1918-1990)が話題に。

おそらく古くからのクラシック音楽ファンの人たちにとって、バーンスタインは生きたスター指揮者だったでしょう。ところが、僕がクラシック音楽に興味をもったときには、バーンスタインはとっくに鬼籍に入っていたし、何より僕は新しい録音が好き。だから多くのクラシックファンと違い、僕にとってバーンスタインは何よりもまず"20世紀を体現する偉大な作曲家"であり、そして指揮者だった。

というわけで、僕が手にしたのはバーンスタインが振ったものではなくて、彼の弟子のマリン・オールソップ(Marin Alsop, 1956-)がNAXOSに入れた、作曲家バーンスタインの作品集♪

やはり指揮者としてのバーンスタインだけを見ていては彼の大部分を見落としていると思うし、そして何より、彼の作曲した音楽はとても面白いものばかり!


┃バーンスタインを語る言葉。

バーンスタインのイメージと言えば?

 ・超ヘビースモーカー
 ・情熱的な指揮で、興に乗るとジャンプ!
 ・なによりも彼のマーラー!

などなど。でも、僕がより本質的だと思うのは、そこじゃない。

 (1)ユダヤ
 (2)20世紀の信仰とは何かを追求
 (3)知の巨人であり、人道主義者
 (4)若い音楽家にとってのブッダ
 (5)何よりシリアスな作曲家として成功を望んだ

こういったところが、芸術家バーンスタインを理解するキーワード。

(1)や(2)については、彼の音楽の根っこにある重要なキーワードで、作品にもよく現われるテーマ。(3)については彼が英語に加え、ドイツ語、フランス語、イタリア語をはじめ、おそろしいほど多くの言語を操ったことなどからもわかるし、何より彼は若い人たちに知識を分け与えることが非常に好きだったことから、証言する人はたくさんいる。

また作曲をするにも、バーンスタインはブラームスやマーラーのように避暑地で休暇をとってということはほとんどできず、常に人々に囲まれていることを望んだらしい。おかげで彼は満足に作曲する時間がとれなかった。さらに、それにはもうひとつ困った理由があって、それは彼が指揮が好だったこと。

「なぜマーラーの9番を断れるだろう?」

彼は語っています。作曲と指揮、その間で揺れる音楽家というのが、僕のバーンスタイン像。


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また、バーンスタインこそ"20世紀アメリカ"を体現しているとも思う。

人種と文化のるつぼであるアメリカで、ミュージカルからシリアスなシンフォニーまで、ときにジャズの語法までをミックスして作曲。それから「信仰の危機」という問題にも代表作の『ミサ』などで取り組んでいる。まさに時代を体現し、その問題に対峙するという姿勢が、僕にバーンスタインを偉大な芸術家であると確信させる。


┃唯一の映画音楽。

今日はオールソップのボックスから映画音楽『波止場』(Waterfront, 1954)を。

様々なジャンルに取り組んだバーンスタインだが、映画音楽はこの『波止場』一作のみ。

この映画は「ニューヨークの港を舞台に、マフィアのボスに立ち向かうある港湾労働者の姿を描いた」(Wikipedia)作品でアカデミー賞で8部門も受賞。

ところが、アカデミー賞の肝心の音楽賞はディミトリ・ティオムキン(Dimitri Tiomkin, 1895-1979)作曲の『紅の翼』が受賞した(ティオムキンはWikipediaではマックス・スタイナー、ミクロス・ロージャ、フランツ・ワックスマンなどと並ぶ映画音楽の巨匠とされている)。

受賞を逃したのが堪えたのか、シリアス音楽の作曲家として成功したかったからか、バーンスタインは映画音楽を2度と担当しなかった。

 *   *   *

音楽ははじめ、ホルン・ソロが高い音でメロディーを出し、それがフルートや弱音機つきのとローンボーンにうけつがれて静かに始まる。やがて打楽器が強烈なリズムを出すと、ジャズの楽器であるサックスがメロディーを出して高潮する(Andante~)。このあたりのリズムの愉しさはバーンスタインの音楽に共通するもの。

さらに魅力的なのはハープが導入してフルート・ソロが紡ぐ場面(More flowing)。見事に「静けさ」を音楽で描いている。その音楽もやがて、立ち上がる者の気高さを示すように、勇壮な拡がりをみせる。

最後、音楽はテーマを繰り返しながら進み、強烈な和音とともに終わる。


なかなかに印象深い作品だと思うし、これは好きだ。けれど現役盤はこのオールソップと佐渡裕のもの、そして最近BISから出たC.リンドベルイ指揮のものだけかと思われる。

バーンスタインは弟子も多いし、これからの新盤を楽しみに待ちます。


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▼バーンスタイン作曲 交響組曲『波止場』から(部分)



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ぺぇたぁ

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